保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

岡山)待機児童問題、背景には保育士不足 現場では

 「保育園落ちた日本死ね!!!」の匿名ブログで注目を浴びた待機児童問題。県内でも待機児童が875人(4月1日現在)いて、自治体が対応に追われています。解消できない理由の一つに、現場での慢性的な保育士不足があります。

 6月下旬、岡山市中区の市立保育園で、資格を持ちながら職場を離れている「潜在保育士」の実習体験研修会がありました。参加したのは30~50代の女性3人。担任の保育士らと一緒に0~2歳児におやつを食べさせたり、オムツを替えたり、予測できない動きをする園児に翻弄され、3人は午後1時すぎの昼寝の時間まで一瞬も気を抜けませんでした。

 参加した上原真弓さん(54)は「どこまで子どもに手をかけて良いかわからなかった。見よう見まねでした」と一息つきました。子育てとの両立に悩み、「仕事がきつくて大好きな仕事が嫌いになって離職した」という采女(うねめ)沙美さん(37)は、研修会に参加して復職に前向きになりました。「心配だったけど、子どもたちの笑顔が見られて楽しかったし、自信になった」と語ります。

 この保育園では、約130人の園児を30人ほどの保育士で世話をしています。園長(55)は「見学は多いが、すぐに入園できるか即答できない状態。保育士もパートを雇い、交代で休みを取るなど自転車操業で毎日乗りきっている」と保育士不足を嘆きます。

 研修会は市が2年前に始め、今年は3カ所の保育園で実施しました。市は待機児童解消のため、来春までに保育所の定員を800人以上増やす方針で、実現には保育士確保がカギを握ります。

 県によると、県内には資格登録した保育士が約2万3千人いますが、潜在保育士の数や保育所で不足している人数を把握し切れていません。厚生労働省は2017年度末に全国で9万人の保育士が不足すると見込みます。

 保育士不足の背景には給与の低さがあります。厚労省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月収は21万9千円で、全職種より11万4千円低い(2015年)。待機児童問題が注目されたこともあり、参院選では各党が競うように、保育士の賃金増額など処遇改善を公約に掲げました。

 就実短大(岡山市)の沢津まり子教授が2月に発表した調査結果によると、20~40代の潜在保育士216人が答えた離職理由は「結婚や出産」に次いで、「仕事量の多さ」「就労時間の長さ」「給与の安さ」が上位に並びました。

 沢津教授は「離職後にパートなどの仕事を経験し、給料や労働時間が変わらなくて責任も軽いとなると、他の仕事を選ぶのも無理はない」と指摘。その上で「待遇を目に見える形で改善する必要がある。保育士不足や待機児童の問題が注目されている今こそ、改善する好機だ」と話しています。

〈県内の待機児童数〉 

 保育所に入れない県内の待機児童は、4月1日現在で875人。前年同月比で2.2倍余りに増えました。岡山市が待機児童を判断する基準を市独自で変えたため、同約5倍の729人に増えたことが要因です。他の自治体では、倉敷市111人(前年同月比69人減)、総社市27人(同31人減)、早島町8人(同13人減)ですべて減っています。

 自宅や職場に近いなど特定の保育所を希望して入所しない「隠れ待機児童」は岡山市614人(同190人減)、倉敷市134人(同23人減)、総社市24人(同12人増)。国の定義では「待機児童ゼロ」の津山、浅口、真庭3市にもいます。保育所に入れていない児童は県内に計1663人(同263人増)います。