保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

2016参院選/2 介護・子育て 保育士の待遇改善競う 増税延期1.4兆円不足

 自民党が「一億総活躍社会」を掲げて子育てや介護を重視する姿勢を示したため、社会保障分野では与野党の対立軸が見えにくくなりました。消費税率引き上げの再延期に反対する党はなく、結果として財源の裏付けがあいまいな政策が並んだ印象は否めません。

 「保育園落ちた」の匿名ブログをきっかけに関心が高まった待機児童問題。保育士の給与について、自民党は2%(月6,000円)改善を約束しました。首相は選挙戦で「3年間で保育士の待遇を7%も改善した。今後さらに2%改善し、経験を積んだ人には4万円を上乗せする」と訴えています。

 これに対し、民進、社民両党は月給の5万円引き上げを提案。共産党はさらに毎年1万円ずつ5年間増額し、計10万円の引き上げを掲げました。与野党が待遇改善の金額を競う展開になっています。

 子どもの教育費では、旧民主党などが提唱した返済不要の給付型奨学金制度の創設を、おおさか維新の会を除く8党が公約に盛り込みました。これまで慎重だった自民党は「具体的な検討を進める」と方針転換しました。おおさか維新は、幼児教育から高等教育までの無償化や、塾代などに使える教育バウチャー(クーポン)などで独自色を出しています。

 介護分野でも各党の政策に大きな違いはありません。自民党は「介護離職ゼロ」を目指し、50万人分の介護基盤の整備や介護職員の月給1万円増を主張。公明党や野党も介護職員の待遇改善に力点を置いています。

 問題は財源です。消費増税の再延期によって、社会保障充実のために予定していた2.8兆円のうち1.4兆円が不足します。公明党は、低所得の高齢者らへの月最大5,000円の給付金支給▽年金受給資格期間を現行の25年から10年に短縮する無年金者救済策▽介護保険料軽減措置の拡充−−などの実施を求めていますが、いずれも代わりの財源を確保する必要があります。

 民進党社会保障の充実策を「消費税率の引き上げを待たずに予定通り来年4月から実施する」と公約に明記しました。岡田克也代表は先の国会の党首討論で、不足分は赤字国債を発行してまかなうよう提案しましたが、公約では触れていません。「借金を増やす無責任な主張」という与党の批判を考慮したとみられます。共産党富裕層への適正な課税(3兆円以上)などで財源を生み出すとしています。

 首相は1日の記者会見で、保育、介護の受け皿各50万人分の整備や保育士、介護職員の処遇改善に優先的に取り組む考えを表明しました。自民、公明両党は安倍政権の経済政策「アベノミクス」を加速させて財源を確保すると説明しています。しかし、税収は景気によって下ぶれする可能性があり、安定財源とはいえません。

 みずほ情報総研藤森克彦主席研究員は「各党とも財源の根拠が具体的でなく、公約が願望リストになっている」と指摘。「政治は目先の損得ではなく、国の未来の社会保障を議論してほしい」と注文をつけました。