保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

<参院選 選択の視点 中>一億総活躍社会は来るか

 「保育園落ちた日本死ね」。子どもが保育所に入れなかった母親が怒りをつづった匿名のブログが国会で取り上げられ、クローズアップされた待機児童問題。昨春、全国で2万3,167人を数えました。県内でも、岡山、倉敷、総社、早島の4市町で計875人(今年4月1日現在)に上ります。

 「3人目を産みたいけど、働くために毎年、保育園探しに追われる」。今春から長女(2)と長男(1)を岡山市北区の「ソラ小規模保育園おかやま」に預けるアルバイト従業員の女性(30)はため息をつきました。

 同市は5月、厚生労働省が示す待機児童の定義を見直し、希望する3保育園に入園できなかった児童も含めました。昨年134人だった待機児童数は729人に膨らみ、大森雅夫市長は、来春までに800人以上定員を増やす方針を打ち出しました。

 ソラ小規模保育園おかやまのある区域は待機児童数104人で市内最多。同園は今春、1歳児の定員(6人)を増やし、13人を受け入れました。

 問題の背景には非正規労働者の増加で、共働き家庭が増えたこともあります。2012年の就業構造基本調査によると、育児をしながら働く県内の25~44歳女性の割合は56.7%(4万9,400人)で全国の52.4%を上回ります。出産後も働きたい女性の増加に保育所の整備が追い付きません。

 

 「一億総活躍社会じゃねーのかよ。会社やめなくちゃならねーだろ」。言葉遣いへの批判はあったものの、今年2月のブログに記された切実な声は、母親らの共感を呼び、国の政治を動かしました。

 岡山市北区のパート従業員の女性(31)も「夫の給料だけでは、貯蓄できません奨学金の返済もあり、働くためには保育園に頼るしかない」とブログの内容に理解を示しました。

 政府は3月、待機児童の解消に向け、小規模保育所の定員上限を19人から22人に増やすなど、施設や制度の規制緩和を認めた緊急対策を公表しました。今月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」から前倒しし、対策を急ぎました。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)でも、17年度末で待機児童解消を目指すといいます。

 しかし、読売新聞が主要自治体の4月現在の状況を調査したところ、待機児童が解消していない48市区のうち、27市区は17年度までの解消が見通せないと回答。解消予定は約4割にとどまります。

 

 保育士不足も課題で、一億総活躍プランでは保育士の処遇改善も盛り込みます。岡山市が定員を800人増やすには保育士約130人の雇用が必要で、市は小学校教諭らが保育園で働けるようにする条例改正案を6月議会に提出しました。

 来春の復職に向け、同市北区で保育園を探す栄養士の女性(29)は「保育士の給料を増やすなどして勤めやすい環境にして、親も安心して預けられるようにしてほしい」と望みます。

 日本総合研究所の池本美香・主任研究員は「待機児童問題を解消できなければ、子育てのリスクを個人が負うことになり、女性は心細くて出産できない」と指摘。「自治体が待機児童のニーズを予測するには限界もある。国は緊急対策をとりまとめるだけでなく、幼児期教育の質の向上も含め、具体的な政策に結びつけることが重要だ」と話します。