「児相判断に問題」 県検証部会が提言書 伊東、下田 /静岡
県の児童虐待検証部会(会長=高橋一弘・大正大人間学部教授)は2012年5月〜14年10月に伊東、下田両市であった児童虐待事件の検証結果をまとめ、30日、山口重則・県健康福祉部長に提言書を渡しました。伊東市の事件については「児童相談所による一時保護から家庭復帰の際の判断に問題があり、対応の方針転換も不十分だった」と結論づけました。
同部会は、(1)伊東市で12年5月、児相の一時保護から家庭に戻された男児(当時2歳)が死亡し、妹の女児(同8カ月)も虐待が疑われたが保護せずに14年3月に死亡した事件、(2)下田市で14年10月、母親の自宅の天井などから相次いで生後間もない乳児2人の遺体が見つかった事件の2事件について、当時関わった児相の担当者らから聞き取り調査するなどしました。
伊東市の事件については、男児に原因不明の頭部外傷が繰り返されており「虐待と断定できなくても(強制的に保護する)介入的関わりが必要だった」と指摘。「男児の両親は虐待の事実を認めておらず、けがの原因について問題に向き合わせるための話し合いを十分に行っていなかった」としました。
今後の児相の対応について、過去の経過を踏まえたリスクアセスメントを行うほか、医療機関によるセカンドオピニオンや家庭調査を積極的に行うことを求めました。
下田市の事件については、周囲は母親の妊娠や出産に気付かなかったとしても、「母親が受診した産婦人科医との連携があれば、妊娠を把握できた可能性がある」として、産婦人科医との連携強化を今後の課題として挙げました。