保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

日常忘れ心温まる絵本好調

ロングセラーや新定番

 夏休みも今が真っ盛り。学校や仕事など普段の生活から離れてみたいと思ったら、絵本を開いてみるのはいかがでしょうか。大人も子どもも親しめる楽しい作品が増え、近年の売り上げは伸びています。

 夏らしい一冊を求め、書店を歩きました。深い青色をした海とラッコやイルカなどの絵に思わずひかれたのが、いわいとしお『うみの100かいだてのいえ』です。最後の階に向かって何が飛び出すのかページをめくるのが楽しい「100かいだてのいえ」シリーズの第3弾。著者の最新刊『ゆびさきちゃんのだいぼうけん』と合わせて読みたい本です。

 工藤ノリコ『ノラネコぐんだんおすしやさん』は、回転ずし店を物欲しげに眺めるネコたちの姿を描く表紙を眺めるだけで顔がにやついてきます。同シリーズは25万部を数え、『ピヨピヨスーパーマーケット』など優しい絵柄の工藤作品も人気です。

 出版科学研究所によると、2011年以降、290億円台で推移していた絵本の推定販売金額は昨年、309億円と前年比6.6%増を記録し、出版不況と言われる中でも好調を保ちます。

 絵本は、1967年の初版から累計600万部を超す松谷みよ子『いないいないばあ』をはじめロングセラーとして愛されるものが多いです。それらに加え、島田ゆか「バムとケロ」シリーズをはじめ、新しい定番作品も毎年のように刊行されています。

事故でこの世を去ったママと息子との夢のような再会を通して、切っても切れない母と子の絆の美しさをユーモアたっぷりに描き、昨年ベストセラーになった、のぶみ『ママがおばけになっちゃった!』は、7月に第2作が出版されました。

 作品に触れて心温かな気持ちになったら、それらを生みだした著者が書いた一般書もあります。中川李枝子『ママ、もっと自信をもって』は、野ネズミの兄弟たちを描いた『ぐりとぐら』の誕生した過程などをつづった一冊。子育ての悩みに答えたページもあり、気分が軽くなります。

 せなけいこ『ねないこはわたし』は、名作『ねないこだれだ』の著者の最初で最後の自伝的絵本と銘打ちます。なかなか眠れない子どもも、子どもの寝かしつけに苦しんだ親も一度読めば忘れられないこの作品を書いた著者の、心持ちの自由さに深く打たれます。

 最後に、蒸し暑い夜にふさわしい東雅夫監修『別冊太陽 あやしい絵本』をお薦めしたいです。「奇」「異」「怪」「妖」など「あやしさ」に着目し、様々な作品を紹介します。表紙の大きなナマズの絵を見るうちに、薄目を開けてページをめくりたくなります。

主人公と同じ4歳の心で執筆

 絵本の世界では、様々な書き手の個性的作品も増えています。自伝的絵本『どもるどだっく』を出版した料理家の高山なおみさんに作品の魅力について聞きました。

f:id:wataru-hojo1111:20160825134926j:plain

△出典:読売新聞

「絵本には、子どもが親しめるように明るい絵で、分かりやすい内容でなくてはならないといった考え方もあるけれど、私は違うと思います。子どもは言葉が足りないから、自分の思っていることを言葉に結びつけられないだけです。虫がいれば、じっと眺めているし、物事の本当のことを見ています。」

 「今回の絵本を私が出版する際に大切にしたことは、私自身が主人公と同じ4歳になることでした。物事の善悪やしがらみに縛られていなかったあの頃に戻って描こうと思っても、つい大人の頭で絵の構図や物語を考えてしまいそうになり、上手くできませんでした。中野さんの絵によって、あの頃の世界が再現できました。 出版後、この絵本を大切に抱きかかえた女の子を見たのがうれしかったです。」