保育園新設取りやめ 不適正経理指摘の法人横浜・鶴見来春予定

　全国で保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」(兵庫県芦屋市、黒石誠理事長)が、来年4月の開所を予定していた横浜市鶴見区での保育園新設を取りやめる方針を市に伝えていたことが23日、わかりました。同法人は兵庫県などの特別監査で約2,750万円の不適正経理が指摘されており、市も定期監査で計約27万円の不適正経理を指摘し改善指導中。今月末にも特別監査を実施し全容を把握する考え。市の担当者は「待機児童が増えないよう対応を検討する」としています。

　横浜市によると、開設を予定していたのは「(仮称)市場下町方面保育園」(同市鶴見区市場下町、定員120人)。市が借り上げた県有地に新設する予定でしたが、建設を取りやめる方針を同日午後、市に伝えてきました。市は今後、新たな事業者募集や小規模保育事業者の公募などにより定員枠のカバーを目指します。

　同法人は6月、運営する兵庫県姫路市の保育園で勤務実態のない理事長の実母に給与を約1,000万円支払ったほか、理事長の娘宅の家具・家電製品の代金を保育所の備品購入に偽装して170万円を支出したなどとして、県から不適正経理を指摘されました。

　横浜市も7月、同法人が運営する市内3保育園の定期監査を実施。その結果、京都市の家電量販店や神戸市の家具店で購入し、理事長の娘宅で使っていた計約27万円分の掃除機や木製プランターなどを、園の消耗器具備品費で支出したことがわかり、理事長の妻を会計事務から外すよう改善指導した。3園での保育に関しては問題ないとしています。

　さらに、園の備品として購入したベビーカーが私的流用されている可能性があるなどとして、8月末から特別監査を実施し不適正経理の実態解明を進める考えです。