保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

社説:配偶者控除見直し 社会の変化に対応必要

 政府税制調査会は来年度の税制改正へ向け、専業主婦や収入が低い配偶者のいる世帯に適用される配偶者控除の見直しに着手しました。現行の制度は、配偶者の年収が103万円以下の場合、世帯主の所得から38万円を差し引いて課税し、所得税負担を軽減しています。

 同控除は、夫が働いて妻は専業主婦というスタイルが一般的だった高度成長期の1961年に導入されました。ですが、長期のデフレなど厳しい経済情勢の影響もあり夫婦の働き方は変化しました。専業主婦世帯は80年の1,114万世帯から2015年には687万世帯に減少し、逆に共働き世帯は614万世帯から1,114万世帯へと増えました。

 こうした社会の変化に税制が対応していないとの批判は根強いです。また、妻がパートなどで働く場合、同控除を受けるため、働く時間を抑制し年収を調整することが多い。「103万円の壁」と呼ばれ、女性の社会進出を妨げる一因とされてきました。

 人口減に伴う労働力不足を見据え「女性活躍」を掲げる安倍晋三首相は、政府税調の総会で「女性が就業調整を意識せずに働けるようにする」と述べました。

 現在有力視されているのは、配偶者控除を廃止し、夫婦のうち所得の多い方の収入から一定額を差し引く「夫婦控除」の導入です。ただし、配偶者控除に比べて対象者が増えるため、税収が大幅に減る可能性があり、所得制限などにより対象者を絞ることを検討しているといいます。

 政府は若い世代に光を当て、特に共働きで子育てする世帯や、低所得層に配慮した税制の実現を基本方針に掲げています。そのためには、働き方や家族の形態などに左右されない控除が必要です。夫婦控除がそれに適しているのかどうか、慎重に議論すべきでしょう。

 一方、配偶者控除の対象者にとっては、夫婦控除が導入されれば負担増になる可能性が高く、政府には丁寧な説明が求められます。配偶者に家族手当を支給する民間企業も多く、その場合、配偶者の年収制限を103万円に設定するケースが目立ちます。そうした手当に影響が出ることも予想されます。

 また、働く意欲はあっても、子育てや介護のために専業主婦を選択している人もいるとみられます。こうした世帯で税負担が重くなる影響は大きく、きめ細かい対応が必要になります。

 育児や介護に関しては、負担が女性に偏っていないかという視点からの議論が大切です。税制だけで対応できるものではなく、男性の育児参加を促すためには、働き方を見直す政策などと連動させることが重要です。

 配偶者控除の見直しでは、働き手を増やすという面にとどまらず、税制が社会のどの部分に配慮し支援すべきかに関し、多くの国民の合意を得る努力が欠かせません。家族の在り方や働き方についても、多様性を尊重する制度を望みたいです。