保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

橋本市「ヘスティア」/3 手作りおもちゃにぬくもり いっぱい抱っこして /和歌山

 未就園児を抱える若い母親らの明るい笑顔が並びました。7月15日、橋本市城山台2の紀見地区公民館で開かれた、市家庭教育支援チーム「ヘスティア」アラカルト班のおもちゃ作り。保護者が子育て仲間と一緒に、手作りおもちゃに挑戦します。地域の親子サークル「ぽっぽ&ぺこぽこ」の母子7組が参加しました。

 この日は、スタッフリーダーの藪添良子さん(64)が考案した「ぱくぱくパペット」作りです。ビーズや布を貼り合わせた個性のある「顔」が、ぱくぱく口を開くかわいい手あそび人形。素材はトイレの便座カバーなどに使われているパイル織物です。

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△出典:毎日新聞

 同市高野口町は明治時代からパイル織物の生産地として知られ、日本一の生産高を誇っています。藪添さんは、知り合いのパイル工場関係者から規格が合わず廃棄処分にされるパイル製品を分けてもらい、おもちゃの素材にしています。

 母親が制作をしている間、スタッフが子どもたちと一緒に遊び見守りもしてくれます。母親同士が楽しそうにおしゃべりしながら、作業をします。

 ヘスティアは2008年度、活動が形式化してしまった学級懇談会の活性化を目指し、地域住民らで結成されました。主任児童委員を長く務め、子育て支援をしてきた藪添さんは創立期からのメンバーです。「語り合いだけだと、なかなか保護者の皆さんも参加してくれない。一緒に楽しいことをしながら、話し合いましょうと呼び掛けました」と振り返ります。

 講座のラインアップは食育、家族みんなで読書を楽しむ「家読(うちどく)」、写真整理術の「スクラップブッキング」など多彩です。なかでも、このおもちゃ作りは創立期から続く人気講座で、幼い頃から手芸が好きだったという藪添さんの得意分野でもあります。

 おもちゃは、糸巻きの紙管を使った「ポップアップドール」など、スタッフがアイデアを出し合ったユニークなものばかりです。藪添さんは「お母さんが作ってくれたおもちゃはきっと、お子さんに喜んでもらえるでしょう」とほほ笑みます。

 保護者は日ごろの家事や育児の忙しさから解放され、子育て仲間とコミュニケーションを取りながら、身近な材料を使って子どもが喜ぶおもちゃ作りができます。できあがったおもちゃは、どれもぬくもりを感じるものばかりです。東日本大震災では、みんなで計200個のおもちゃを作って東北の被災地に送っています。

 講座の終わり30分間は、必ず保護者同士の語り合いの時間を設けます。おもちゃ作りで打ち解け合った保護者は、互いに子育ての悩みを語り出します。

 「ぽっぽ&ぺこぽこ」代表の戸島浩子さん(37)によると、「ストレス発散のため」よく母親同士が集まっているといいます。戸島さんは「家にこもっていたら、それこそ子どもとしか話さない。日ごろたまったうっぷんを聞いてもらう貴重な集まりです」と笑顔で話します。隣近所の関係が希薄になりがちな新興住宅街。子どもはまだ就園前で友達も作りにくいです。若い母親は家庭にこもりがちになり、誰にも悩みを打ち明けられずにストレスをためてしまいます。ヘスティアはそんな保護者に寄り添い、ふれあいの場作りを応援します。

 藪添さんは「今のうちにお子さんをいっぱい抱っこして、愛情を注ぐことがすごく大事なことです。幼い頃に向き合っていたら、お子さんが思春期になっても、自分の心情を親に語ってくれる子に育ちます」と話しました。自分の子どもをひざの上に抱っこした母親らは、うなずきました。