保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

ベテラン保育士の育成支援 政府、賃上げへ助成拡充

 政府はベテラン保育士を増やすため、私立の認可保育所への助成金を増額します。保育士の平均勤続年数などの条件を満たす保育所への国からの支援を年約300万~500万円上乗せし、定着率を高めるねらいです。賃上げで離職を防ぎ人手不足を補います。

 内閣府は7月中に制度の詳細を自治体に通知します。私立保育所で働く保育士は全体の約6割を占めます。支援するのは国が定める必要な保育士数より多く雇い、職員の平均勤続年数が15年以上の私立保育所厚生労働省は私立保育所の約10%が対象になるとみています。

 助成金はキャリアを積んだ保育士や、勤める保育士全体の賃金改善などに充てます。加算額は保育所の所在地やこどもの定員数に応じて月約27万円から45万円になります。

 たとえば保育士数が22人で子どもの定員が100人の東京23区にある保育所の場合、月約45万円が保育所に支給されます。全ての保育士の賃金を一律に上げれば、月給が約2万円上がる計算になります。

 保育士には現状でも会社員のように勤続年数に応じて月給が上がる「定期昇給」の仕組みはあります。ただ条件によって増減はあるものの、1年で原則1%、約3,000円相当しか上がりません。しかも勤続年数11年で昇給が頭打ちになるなど、一般企業と比べて条件は悪いです。特に私立保育所で国の基準を超える数の保育士を雇っていると賃金が公立より低くなるケースが多々あります。

 このため年間約4.9万人の保育士が就職する一方、約3.3万人が離職しています。政府は今回の助成金で保育士の「定昇」を促し、定着率を引き上げたい考えです。

 ベテラン保育士と若手保育士がチームで保育に取り組む環境をつくり、保育の質を引き上げる効果も見込んでいます。私立保育所では保育士の経験が7年以下の職員が全体の6割を占めます。その結果「指導役」のベテランが不足し、長年の経験で得られるノウハウが不足している保育所も多かった。

 今回の対策では、保育所が受け取った助成金を十分に保育士の賃上げに充てなければ、定着率向上などの効果は出ません。内閣府は「市町村が助成金の使い道を、定期的に保育所に確認している」と主張します。ただ保育現場からは、賃上げを促すための助成金を受けた保育所でも「わずかな昇給にとどまるケースがあった」(東京都の保育士)との声もあり、監視の強化は欠かせません。

 政府は3月末の待機児童の解消に向けた緊急対策で、必要な保育士の数を国の基準より多く定めている自治体に、受け入れる子どもを増やすよう求めました。今回の助成金は、基準より保育士を多めに配置している保育所を対象にしており、緊急対策の方針と逆を向いているようにも見え、現場が混乱する可能性があります。

 病児保育を手掛けるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「そもそも国の基準では現場の保育士が足りない。早急に見直す必要がある」と指摘しています。