保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

「家族を養えない」 非正規保育士、待遇改善訴え /奈良

 参院選は10日に投開票が迫りました。今回の選挙戦でも論じられている保育士の待遇問題、高齢者の年金問題に焦点を当て、県内の現状を2回にわたって探ります。

 「結婚したいと思っても相手を養っていける自信がない」。奈良市内の市立こども園で、非正規雇用の職員として働く男性保育士(28)はため息をつきました。

 短大で保育士と幼稚園教諭の資格を取りました。新卒時の試験に受からず非正規職員となり、5年がたちました。その経験を見込まれ、4歳児の担任を任されています。絵本の読み聞かせや絵画指導、ピアノ演奏に野菜作り……。仕事内容は正規職員と同じです。

 勤務時間は午前8時半〜午後5時が基本。昨年度までは日給制で、年末年始など勤務日数が少ないと金額が極端に減りました。今年4月から月給制となったが、手取りは月17万円ほど。衣食住など生活費に消え、いくらも残りません。

 待機児童解消に向け、保育士の確保は喫緊の課題です。しかし、同市内の保育園に勤務する正規職員の男性保育士(44)は「非正規の20代後半の男性保育士が最近、自分の周りだけでも3人辞めた。結婚して家族を養わなくてはと全く別の仕事に転職した」と明かします。

 同市こども園推進課によると、市内の待機児童数は85人(4月1日現在)。市は保育士らの確保に向けて8月に初めて就職説明会を初めて開く予定ですが、あくまで登録制の非正規職員としての採用です。同課は「正規職員の採用人数は市全体の方針で既に決まっている」と説明。市職員組合は「保育士は受験者約150人で合格は8人程度と競争率は約20倍で狭き門。退職者は毎年数十人おり、必然的に非正規職員で対応することになる」と指摘します。

 天理市に住む女性保育士(30)は20歳の時、奈良市内の私立保育園に非正規雇用で勤務した経験があります。人手不足は深刻です。

 就業時間は朝7時半〜午後7時ですが、会議や翌日の保育の準備作業で午後10〜11時までサービス残業するのが日常。夏休みの「お泊まり保育」の仕事は名目上「希望者のボランティア参加」でした。月の手取りは13万円で、1人が退職を申し出たのをきっかけに9人が辞めました。

 安倍晋三首相は2017年度末までに全国で50万人の受け皿を確保すると表明し、保育士の待遇改善も掲げます。野党も月給引き上げなどを打ち出します。ただ、消費増税を先送りする中、財源を確保できるかは不透明です。

 女性保育士は「消費増税見送りで、給料引き上げも流れてしまうのでしょうか。給料が良くなれば働く人も増える。ぜひ待遇を改善してほしい」と訴えます。