保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

保育士が教える!赤ちゃんとの上手なコミュニケーション方法

 まだ言葉を持たない赤ちゃん。眠っていることが多く、起きていても何かしらの理由で泣いていることが多いですし、泣くことで感情の表現をしています。今回はそんな赤ちゃんとのコミュニケーションを無理なく上手に取る方法を考えてみようと思います。言葉のかけ方や、赤ちゃんが泣くときの感情の仕組みにも児童心理学に基づいてご説明します。

 パパママも無理をしないで、赤ちゃんとの絆「愛着関係」を上手に築いていきましょう。赤ちゃんとの毎日のコミュニケーションがきっと楽しくなるはずです!

 

言葉かけ ~ささいなことを大切に~

そのとき感じたことや、赤ちゃんが思っているであろうことを言葉にして伝えましょう。

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 ▲出典:cozre

 赤ちゃんとのコミュニケーションを考えたときに、何をどうすれば良いのかが分からない!なんて悩みを持った人も少なくはないと思います。赤ちゃんは言葉で自分の気持ちや、してほしいこと、嫌なことを伝えることができないのが大きな理由なのではないかと考えています。

 では、言葉を持たないから言葉をかけなくていいのかというと、それは間違いなく良くありません。たとえ意味が伝わらなくても、赤ちゃんの目を見て、言葉をかけることにはちゃんと意味があるのです。

 赤ちゃんへの声かけで悩んだことは誰にでもあると思います。でも、あることを意識すると、そんなに深く考え込まなくても大丈夫になります。

 

 そのときにパパママが感じたこと、赤ちゃんがこう思っているのではないかな?と思うこと。そんなささいなことを言葉にして伝えてあげてください。

 お散歩に行ってそよ風が吹いたら「風が気持ちいいね。お散歩うれしいね」。オムツを替えるときに「オムツ濡れてて嫌だったね、オムツきれいになって気持ちいいね」。オムツやミルクなどの理由が分からずに泣いているときに「どうしたのかな?ママ(パパ)がいるよ。大丈夫だよ」。

 そんな言葉の積み重ねが、そうしたやり取りの積み重ねが赤ちゃんとの愛着関係を深めていくのです。専門知識は必要ありません、ただ伝えたいことを赤ちゃんに声かけしてあげれば良いのです!

 

スキンシップ ~身体ぜんぶで愛情表現~

身体ぜんぶで愛情を伝えると幸せホルモンが家族みんなに分泌されます。

 赤ちゃんはスキンシップが大好きです。指を赤ちゃんの手に当てると握ったり、抱っこをすると身をゆだねたり、顔の辺りを触ろうとしたり・・・。赤ちゃんは大好きな人たちからの、抱き締める、手を繋ぐ、ほっぺを近づける、チューをする、頭をなでる、等の身体の全部を使って愛情を感じることができます。心理学では、スキンシップを取ることは動物、特に人間にとって重要なことだと考えられています。

 スキンシップをすると、脳の中の脳下垂体と言う部位から「幸せ(絆)ホルモン」と呼ばれるホルモン(オキシトシン)が分泌されます。これは耳慣れない言葉ですが、ママは知らずの内にこのホルモンを使っていたはずなのです。赤ちゃんが宿ったときから幸せホルモンが分泌され、子宮を縮めて分娩をしやすくしたり、母乳が出るようにしたりする働きをします。

 幸せホルモンには「不安を和らげる効果」や「気持ちを安定させる効果」があり、スキンシップをして10分ほどで分泌が始まります。赤ちゃんが抱き上げると泣き止んだりするのは、このホルモンの分泌によるものもあるのでしょう。スキンシップをして10分で分泌が開始され、効果は50分ほどというデータもあるので、1時間に1度くらいの頻度で赤ちゃんを抱き締めて、スキンシップを取ると安心してくれるかもしれません。

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 ▲出典:cozre 

「甘やかしすぎる」という心配はあるの?

 たくさんのスキンシップと聞くと、甘やかし過ぎているというイメージを抱く方もいるかもしれません。甘えさせ過ぎてしまうと、その先に待っている親離れなどが困難になるのではと不安な方もいるでしょう。

 しかし、児童心理学では逆の考え方をします。簡単に説明しますね。スキンシップを図ることで、子どもは大人への愛着や信頼を感じ、その信頼や愛着をもつことで自ら親から離れて、色々な事に挑戦したりするとされています。逆にスキンシップを小さい頃に多く持つ機会がもてなかった子どもというのは、大人への信頼が不足していたり、自分を大切にする気持ち(自己肯定間)が芽生えにくくなったりするのだそうです。

 そうなると可能性的に社会に適応することが難しかったり、周りの人と絆を結ぶことが難しくなったりと将来に弊害があらわれることも考えられます。子どもの心の健やかな成長のためにもたくさんスキンシップをして、ママもパパも赤ちゃんもいっぱい幸せホルモンを分泌していきましょう。

 

抱き上げ、あやす ~泣くことで意思表示をする赤ちゃんを認めましょう~

赤ちゃんは泣くという行為で周りの大人へと意思表示をしています。

 今回は少し児童心理学の話が多くなりますが、赤ちゃんに大人のような感情があるかどうか?と聞かれたら皆さんはどう考えますか?

 寂しくて泣いている?お腹が空いたことに怒って泣いている?ママを見るとうれしくて笑っている?さあ、どうでしょう?実は私たちが持つ「感情」にも分化という過程が必要になります。

 グーパーと指全部を一緒に動かしていたものが、順番にグーパーの形に指を折れるようになり、指一本一本をある程度自分の意志で動かすことができるようになります。これを手指の分化と言います。

 このように「感情」にも分化が存在するのです。つまり、赤ちゃんの感情はまだ分化する前。児童心理学の考え方では、赤ちゃんにはまだ大人のような感情はないということになります。

 最初にあるのは「心地良い」か「心地悪い」かだけなのです。大人が離れると心地悪くて泣くのです。お腹が空くと心地悪くて泣くのです。ママを見ると心地良くて笑います。この「心地良い」か「心地悪い」かという感情が次第に、「寂しい」、「悲しい」、「怒る」、「喜ぶ」、「楽しい」と様々な感情へと枝分かれしていき、今私たちが感じることがある色々な種類の感情を抱くのです。

 

「心地悪い」と赤ちゃんが感じていたら、抱き上げあやしてあげましょう。

 

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 ▲出典:cozre

 これまで話してきたように、「心地良い」と「心地悪い」の2種類の感情をもつ赤ちゃんが泣くということは、何かしらの原因で「心地が悪い」からなのです。それがお腹が空いているからなのか、オムツが汚れているからなのか、ママが近くにいないからなのか、眠たいからなのかというのはその場面で推測するしかありません。また、大人だって「なんだか心がしんどい」というときがあるように、赤ちゃんも漠然とした不安を感じていることもあるのでしょう。

 赤ちゃんが泣いて「心地悪い」ことを伝えてくれたら、大人は様々な推測をして原因を取り除きます。そうして、大人が「心地悪い」状態から「心地良い」状態へと変えてくれることを知ると、赤ちゃんは大人との信頼(愛着)関係を結ぶことができるのです。

 だからこそ、赤ちゃんが泣いてしまったら、抱き上げてどうして泣いてしまっているのかを考えましょう。原因がはっきりしている場合にはオムツを替えたり、ミルクをあげたり、寝かせつけたり、赤ちゃんが望んでいることをしてあげます。

 理由が分からないときには、もしかしたら赤ちゃんは漠然とした不安で「心地悪い」のかもしれません。そのときにはパパママもゆったりとできる空間に移動して声をかけながら抱き締めてあやしてあげてみてください。大好きなパパママの腕の中で、声を聴きながら過ごすことで「心地良い」と感じてくれるはずです。

 

パパママの休息 ~育児に疲れを感じたら~

家族の助けや、ときには施設も上手に利用して育児からの休息を取りましょう。

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 ▲出典:cozre

 さて最後に、日頃から育児を頑張っているパパママの休息についてです。どれだけ赤ちゃんと真剣に向き合うと決めても、どれだけ我が子がかわいくても、育児の中で心や身体が辛くなるときもあるでしょう。それがママ失格、パパ失格だなんてことはありません。パパママだって親である前に1人の人間ですからイライラしたり不安になったり、羽を伸ばしたいときもありますよ。

 赤ちゃん(子ども)と上手に付き合っていく中で、パパママの「親としての休息」が必要だと思います。たまにはおじいちゃんやおばあちゃんに子どもを預かってもらって、パパママでデートをしたり、パパやママが友だちと会ったりする時間を作るのも良いでしょう。

 もし身近に頼れる人がいないのであれば、上手に施設を利用して欲しいと思います。託児所などでは一時預かりといって、月や年単位の契約ではなく必要になった日に利用できるサービスも存在します。

 もちろんお金がかかりますし、子どもの施設には必ず定員(子どもたちを安全に預かるために適した預かることができる人数の上限)があるので、事前の確認・予約が必要になります(飛び入りが可能なこともあります)。

 とはいえ、赤ちゃんにとって一番安心して健やかに過ごせる環境というのは、やはりパパママのいる環境であることに違いありません。だから、基本的には育児に励みながら、ノイローゼや育児の不安で子どもを嫌いになってしまう前に、パパママの休息を取って欲しいなと思います。

 休息を取るときには「一時預かり(または、おじいちゃんおばあちゃんの家)で不安じゃないかな?」という気持ちは少し頭の隅に置いておいて、できた時間をめいっぱい楽しんでください。

 パパママがリフレッシュして元気な姿で帰ってくることで、赤ちゃんもいつもと違う環境でも頑張った甲斐があるのではないでしょうか。

まとめ

 今回は、まだ言葉を持たない赤ちゃんとのコミュニケーションについて保育士の目線で考えてみました。「声かけ」、「スキンシップ」、「抱きあやす」ことを自然とすることで赤ちゃんは幸せな気持ちの中で健やかに育ちます。

 また、赤ちゃんが安心して成長できる環境にはパパママの元気も必要不可欠です。育児に疲れたときには周りを頼ったり、施設に預けたりして休息を取るのも大事です。パパママが健康であるために育児から一時でも離れることを、育児から逃げていることだとは思いません。

 ぜひ元気なパパママでありながら、たくさんの声をかけ、いっぱいスキンシップをして育児を楽しんでください。それが自然と赤ちゃんにとってよりよい環境へと繋がっていくことでしょう。