保育ニュースまとめブログ

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精神疾患の母親「子育て不安」連絡を 市が医療機関に要請へ

 千葉県柏市で昨年2月、うつ病と診断された母親が育児に悩み4歳と1歳の娘を絞殺した事件を受けて、柏市は乳幼児を持つ母親らに精神疾患があり育児の負担を訴えている場合、市に情報提供するよう医療機関に求める方針を固めました。医療機関の協力を得られやすくし、子どもの虐待を未然に防ぐのが狙いです。近く市医師会を通して産科、小児科、精神科の医療機関に要請します。

 

 従来、医療機関からの通報は、入院治療が必要なほど親の精神状態が悪化しているほか、子どもへの虐待が疑われる緊急性の高いケースなどに限られていました。通報の判断は個々の医療機関に委ねられているため、守秘義務や個人情報保護との兼ね合いで「全国的にも行政に情報が入りにくい状況にある」(市こども福祉課)といいます。

 市によると、柏の事件では2014年10月以降2回、母親が市内の医療機関を受診して「中等度のうつ病」と診断され、「1歳児の育児がままならない」と訴えていたことが明らかになりました。しかし、入院を要する症状ではないとして、医師から市に連絡はありませんでした。母親は子どもの病気をきっかけに悩みを深めて病状も悪化し、事件を起こしました。

 母親は2人の娘に乳児健診や予防接種を受けさせていました。県柏児童相談所や市にも通報や相談の履歴はなく、母親が受診した医療機関は市のヒアリングに対し「(虐待の)リスクを把握していなかった」と答えたといいます。

 千葉地裁が昨年12月、母親に懲役5年の実刑判決を言い渡した(確定)後、市は再発防止のために医師ら有識者による検証会議を非公開で実施。同会議は今年4月、医療機関との積極的な連携を図るよう提言しました。

 これを受け、市は「精神疾患の診断と子育てを負担に思う発言の二つの条件がそろった場合、児童虐待のリスクが高いと判断できる」として、新たな通報基準を設けることにしました。先の通常国会児童福祉法の一部が改正され、「(見守りや支援の必要な)要支援児童を医療機関などが把握した場合、自治体に情報提供するよう努めなければならない」との規定が盛り込まれたことも後押ししました。

 市こども福祉課は「治療して問題なく子育てをしている親もたくさんいるが、心中による虐待死では精神疾患を持つ母親の割合が高いという国の報告もある。リスクの高い人を早期に見つけ、適切な支援ができるよう協力をお願いしていきたい」としています。厚生労働省虐待防止対策推進室は「個人情報保護などに配慮しつつ、医療機関が情報提供に抑制的にならないようにするこうした取り組みは今後も進めてほしい」と話しています。