保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

県子どもの貧困対策推進計画

 佐賀県は「県子どもの貧困対策推進計画」をまとめました。全国の子どもの6人に1人が貧困状態にあるとされ、県内でも拡大が懸念される貧困問題に対応する5年間の指針となります。教育、生活、保護者の就労、経済の四つが柱になっています。子どもたちがお金の不安を感じることなく、安心して成長していける環境づくりへ具体的な施策の実施が急務です。

 

 国民生活基礎調査によると、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は2012年、全国で16.3%。別の調査では、佐賀県は子育て世帯の11.3%が貧困状態にあるとされています。

 特にひとり親家庭では、全国で54.6%と半数以上の家庭が貧困状態にあり、本県も同様の傾向にあります。さらに佐賀県は、ひとり親世帯率が全国でも10番目と高い。世帯当たりの平均就労収入は母子家庭の場合、6割が200万円未満となっています。

 こうした厳しい状況を踏まえ、計画では、四つの重点施策を掲げ、中でも教育支援を「貧困の世代間連鎖を断ち切るための最も重要な取り組み」としました。スクールカウンセラーによる相談や支援体制の整備、ボランティアが児童の学習支援をする事業などを挙げています。

 子どもを貧困から救うには、親の貧困解消が不可欠です。計画では、貧困率の高いひとり親家庭への自立支援や就労支援など、保護者向けの対策も並びます。

 ただ、今回対策として挙げられた施策は、既存の県施策の中から関連する事業を集約、整理したもので新たなものは少ないです。また、計画終了時までに実現したい数値目標や目安が示されなかったことは残念です。

 とはいえ今回、庁内各課にまたがっていた施策を「子どもの貧困対策」という新たな視点で、連携して取り組む姿勢を打ち出したことには意義があります。計画推進へ庁内にワーキンググループを立ち上げるとしており、具体的な取り組みに反映させることを期待したいです。

 一方で、行政が把握している貧困の実態は、生活保護や就学援助など、市民の申請時の情報がベースとなっています。支援を必要としていても、申請をしていない家庭は漏れている可能性が高いです。武雄市は、児童生徒や保護者、学校へのアンケートで実態調査に乗り出すといいます。福祉の第一線を担う市町、学校や教育委員会、関係団体が情報を密にして、実態把握を丁寧にすることが、有効な施策を行う第一歩となるでしょう。

 

 計画を進めるには、子どもたちが暮らす地域の住民、県民の理解が欠かせません。子どもの貧困は、子ども自身にその原因や責任がある訳ではありません。社会全体の問題であり、社会の責任であるという考え方の浸透が図られるべきです。

 子どもの貧困が、ワーキングプア問題など、格差を生む社会のひずみに原因があるとすれば、一朝一夕に大きな改善は望めません。しかし、その間にも、子どもたちは成長し、さまざまな困難に遭遇します。二度と戻らない子ども時代を、「貧困」という黒い陰で覆ってはなりません。子どもの成長過程に応じた適切な支援が必要であり、対策にはスピード感をもって臨みたいところです。