保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

東住吉区リポート「親育てのまち」(上)

 子育て支援政策論争が、7月10日投開票の参院選に向けて活発化しつつあります。政府が今月2日に閣議決定した1億総活躍プランも保育士の賃上げが目玉政策に位置づけられたが、実際、幼児を抱える親たちは何に悩み、身近な自治体はどのような対応をしているのでしょうか。「親育て」に取り組む大阪市東住吉区の現状を追いました。

 東住吉区保健福祉センター1階で7日に開かれた「すくすく教室」には親子17組が参加し、うちわの模様作りを体験していました。クレヨンで塗り絵をしたりシールを貼り付けたり、遊びを通して手先の発達を促す試みだったが、区役所の目的はもう一つありました。

 

■質問票を基に

 すくすく教室の対象者は、区役所側が1歳6カ月児健診の質問票を基に選定します。子どもとの生活はイライラするか、困ったときに協力、援助してくる人はいるか――など、親の心境を質問して「子育てのしづらさを持つ親子」をキャッチし、専門家の臨床心理士保健師、保育士、作業療法士が相談に応じるのもすくすく教室の目的です。

 子どもがベビーカーに乗らずに悩んでいる女性(42)は「『お菓子で“釣る”のは駄目。ぐずればお菓子が出るという頭になるから』と教えてくれた。プロの目で見てくれる」。マンションで夫と子どもの3人暮らしの女性(35)は「一日中、他の人と話すことがない。仕事していた時に比べてしゃべっていない」と話し、交流の場でもあるすくすく教室に安心感を覚えていました。

 キャッチした親の悩みをフォローする取り組みは、1歳児向けのすくすく教室にとどまらず、2~4歳児プログラム「親育て、子育ての場」にもつなげています。

 

■ロールプレー

 「親育て-」を担当するNPO法人ハートフレンド代表の徳谷章子さん(60)が重視する点が褒め方、叱り方です。例えば、友だちをたたいた子どもを「たたいたらアカン」と叱るのではなく理由を聞きます。「おもちゃを貸してほしかった」と子どもが答えれば「たたいたら借りれないね。『貸して』と言ってみようか」と語り掛けるようにします。

 こうした受け答えを親同士が親役、子役に分かれてロールプレー(役割演技)しており、徳谷さんは「ちょっとした“こつ”を伝えることで子育てが楽しくなり、自信を持つ親は増えている」と話しています。

 「キャッチ&フォロー」と名付けた東住吉区の親育てに注力する施策は、官民一体となった切れ目のない対応が特徴だが、その背景には2013年に区内で発覚した新生児殺害遺棄事件に対する「地域の自責の念」(小倉健宏区長)がありました。