保育ニュースまとめブログ

保育に関連するニュースや記事をまとめたブログです。保育士さんや幼稚園教諭さん、子育て中の保護者の皆さん、保育に関心をお持ちの方々にぜひ読んでいただきたいです。

米の保育料、補助なく高額 仕事辞め子育て 増加

 「保育園落ちた日本死ね」。こんな匿名ブログで日本では改めて認可保育所の待機児童問題が注目されました。一方、米国の親たちは保育所を巡り、別の悩みを抱えています。米国では国や自治体による運営費補助がなく、高額な保育料負担が家計を圧迫しているのです。

 

 シカゴ郊外在住の非営利団体職員ジェシカ・ピューターボーさんは長女出産の少し前から保育所探しを始めました。米国では12週間の無給の産休が法律で保障されているのみなので、ワーキングマザーの多くは出産後3カ月で職場に復帰します。ピューターボーさんも自宅と職場に近い保育所を数カ所見学し、産休明けに空きがあったところに預けることを決めました。

 米国では民間企業や非営利団体が保育所を運営。低所得層向けプログラムなどを除き、公費補助を受けた認可保育所は存在しません。このため親の勤務状況とは関係なく、空きがあれば原則、誰でも利用できます。入所は通年で受け付け、都市部の人気の高い保育所を除けば、職場復帰までに預け先を確保できるかどうかはタイミング次第です。

 ピューターボーさんの場合、保育所が見つかり、安心したのも束の間、長女がグループケアになじめず知人に預け替えることになりました。次女が生まれた約2年後、別の保育所を試したところ、今度は2人とも元気に通ってくれました。子供の性格や成長に合わせてケアを選べてよかったが、「給料の大半が保育料に消えたのが痛かった」と振り返ります。

 

 子育てに関する調査・啓発団体「チャイルド・ケア・アウェア・オブ・アメリカ」によると、0~1歳児の保育料は年間4,822~2万2,631ドル(約52万~242万円)、4歳児は3,997~1万7,842ドル。州により差があるが31州で州立大学の授業料より高い金額です。全米一高額なワシントンでは、0~1歳児の保育料は2人親世帯の所得(中央値)の14.4%に当たります。

 米国勢調査局によると、母親が働く世帯の保育料負担は1985年から2011年までの間で約2倍に増えました。調査機関ピュー・リサーチ・センターの分析では、18歳未満の子供のいる母親の間で最近、専業主婦の割合が上昇傾向、同機関は「高騰する保育料が一因である可能性がある」と指摘します。あまりに高額な保育料を払うより、仕事を辞めて子育てを選ぶ母親が増えているという説明です。

 保育料を押し上げる主因は規制と人件費です。規制は州ごとに異なりますが、子供と保育士の比率、施設の大きさ、保育士要件などが定められており、厳格にすればするほど、運営費はかさみます。

 しかも多くの保育所は保育士の人材確保に苦心、待遇改善の動きが保育料の上昇に拍車をかける可能性もあります。保育所の事業支出のうち人件費は約8割を占めます。しかし保育士の年収の平均は2万2,310ドル、時給にして約11ドルと清掃作業員より低く、離職率の高さにつながっています。

 メリーランド州にある「ファミリー・アカデミー・オブ・ベセスダ」は民家を改築した家庭的な保育所だが、保育士の定着率の高さが自慢です。保育士30人の大半が勤続6年を超えています。昇給、代替保育士の常備といった配慮はもちろんのこと「よい資質の人を採用し、やりがいを感じてもらえるようにするのがカギ」とリマ・カサス所長はいいます。

 一方、全米で700近くの保育所を運営する大手チェーン、ブライト・ホライズン社は、地域に人材プールを用意するなど工夫するほか「保育分野でキャリアを目指す人に、優良事例を学び、所長などにステップアップする機会を提供している」(ステファン・クレイマー社長)といいます。

 「良質なケアには費用がかかる」と全米幼児教育協会(NAEYC)のステファニー・オルモア国際担当シニア・ディレクター。米国も保育士の待遇を改善しつつ、保育料の負担を抑えるという難題を抱えています。